若き青年の悩み
俺にはある悩みがあった。
美しすぎることだ。
こんなことを言うと,醜い奴らや,そうでなくても平凡な容姿しか持たない奴らは,贅沢な悩みだの傲慢な奴だのと言って俺を非難するのだろうが,これは俺にとって真に深刻な悩みだ。
俺の美しさにはある種の特徴があった。
俺の美しさは,男性としてのそれでなく,女性としてのそれなのだ。俺は今まで,22人の人間に好きだと告げられ,百人以上の人間に路上で聲をかけられたが,恐るべきことに一人殘らずそれらは男性からのものだったのだ。
俺は當然,男性などに興味はなかった。それどころか,嫌悪さえもしていた。顔かたちは醜く,毛深くて,近寄ると変な臭いがする。こんな生物と交わらないと子孫を殘せない女性というものに同情したし,不憫だとまで思ったものだ。俺は男にナンパされた日は常に憂鬱に沈み,告白などされた日にはいっそ死にたいと真剣に願ったものだ。この気持ちがその辺の平凡な顔をした奴らに分かってたまるか。いっそ思いきり醜く生まれた方がどんなにマシだったか知れない。
ちょっと前に,女性っぽいスタイルをした男が女性にもてた時代があった。その時俺は,いよいよ俺の時代が來たか,と相當期待をした。しかしそれは期待外れだった。男が女性っぽい格好をするからうけただけであって,顔が女性そのままの俺が女性の格好をしたら本當に女性そのものになってしまいしゃれにも何にもならなかったのである。結果俺はますます男にばかりもてることになってしまった。まさに悪夢である。
男に走れればどんなに楽だろう。しかし,俺は男にもてればもてるほどその反動で男に対する嫌悪感を募らせ,女性にもてたいという願いを募らせるようになった。
俺は機會さえあれば女性となるべく接し,すきあらば男女の関係になる方へ意識を向けようとした。しかし,ことは俺の思う方へ決して運ぶことはなかった。
女性たちは間違いなく,俺の「女性としての美しさ」に嫉妬していた。彼女達は俺に好意を向けるどころか,明らかに悪意を持った視線
を向けていた。彼女達が俺に,このオカマめ,あっちへ行け,と言っているのが,言葉を通さなくても俺には分かっていた。彼女達は悪意
を決して表には出さない。ただ,笑顔を見せていても不思議とその悪意は伝わってくるものだ。その狡猾さが,卻って俺の気に觸り,俺を
傷つけることになるのだ。俺は決して女性を神聖視していたわけじゃなかった。とはいえ,女性のもつ優しさだの,思いやりだの,母性だ
の,そういったものは信じていた。それが少なくとも俺にとっては幻想に過ぎなかった。女性の俺に対する仕打ちは,あくまで殘酷でしか
なかった。
俺がさらに絶望したのは,自分の美しさから來る自尊心の故だった。美しさというのは,異性を惹きつける最強の武器たり得なければな
らなかった。孔雀だって,あの美しい羽は異性を惹きつけるために生えているのだ。なのに,俺の美しさは女性を惹きつける上で何の役に
も立たなかった。むしろ逆に,俺が最も避けたいと願っていた男性を惹きつけてしまうのだ。俺は自分が美しいということに,かつては誇
りを持っていた。この美しさの故に,俺は將來幸福を手に出來ると信じていた。なのにどうだ。今の俺ときたら,この美しさの故に不幸を
招いている。もし俺が生まれついて醜かったならば,この顔の故に女性に愛されることはないと諦めがつくのだから楽だ。他の部分で女性
を振り向かせようという努力だってできただろう。ところが俺は,なまじっか美しく生まれた所為で期待を抱いてしまった。期待しておい
て落とされることは初めから期待しないより何倍も哀しい。
俺は本能の上で,女性と交わることを要請されているはずだった。だから女性をひたすら求めつづけていた。そして,それを拒絶される
と深く傷ついて絶望したのだ。
しかし,何度拒絶されてもこの戦いを諦めるわけにいかない。それは俺の人間としての落伍,敗北を意味していた。最終的に諦めた時は
死ぬときだと,俺は真剣に考えていた。生き恥をさらすくらいなら,誇り高き死を。
とはいえ,俺は全ての男どもを敬遠していたわけじゃない。単に友人としての交際ならば,俺は可能な限り彼らと友好的に接するよう努
めていた。
そんな中に,俺と殊更気の合った男が一人いた。そいつとは2年前にアルバイトを通じて知り合った奴で,初めて會ったときからやたら
に話が弾んだ。一緒にいて実に楽しい奴で,何度も一緒に遊びに行ったし,付き合いが長くなるにつれて,よくお互いの悩みを打ち明けた
りする仲になった。お互いがお互いを親友と認め,あまりにもクサイせりふだったから口には出さなかったけれど,ずっとこのまま変わら
ぬ友情を誓おうな,とお互い思っていた。
そんな関係はある日突然破られた。
思えば2ヶ月くらい前から,彼はおかしくなり始めていた。彼はその頃,ずっと好きだったと言っていた同じ大學の同級生に失戀した。
いつになく,らしくなく落ち込んでいた彼を,俺は必死になって慰めた。
「きっとまた,いい人が見つかるから」
そう言って彼を見た時,ふと目と目が合った。その時,彼が俺に今までとは違った視線を投げていたことに気付いた。
「俺,やっぱり君のことが好きだ。ずっとそうだった。今,やっと気付いた」
彼が俺にそう言ったのは,それから間もなくのことだった。
俺は失望した。こいつだけは違う。ずっと友達でいてくれる。そう信じていたのに。
俺は悩んだ。この男と戀人同士になる気なんて毛頭ない。しかし,それを拒絶すれば,彼は俺と友人でいることもやめてしまうだろう。
俺にとって數少ない友人である彼を,俺はなくしたくはなかった。
「今までどおりの付き合いでいて欲しい。君がどう思っていようと,それは構わないから。」
それが俺の答えだった。
あれから長い年月が経った。
俺は結局,彼を拒絶することが出來なかった。
俺は彼と関係を結び
そして今,何故か俺と彼の間には3人の子供がいる。
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